無痛分娩

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無痛分娩の種類は?

薬剤を用いない「精神的・暗示的なもの」(ラマーズ法・ソフロロジー法)やアロマテラピーを用いたものも無痛分娩の方法ではありますが、確実に痛みをとることは困難と言われています。そのため、薬剤を用いて行うことが必要です。静脈麻酔や吸入麻酔など全身麻酔を行う方法もありますが、呼吸抑制や意識低下などをきたす可能性があり、出生時のアプガースコアが低下する傾向がありますので、ほとんど行われておりません。硬膜外麻酔法が世界的にも主流です。

「計画麻酔分娩」を行っている施設もたくさんあります。
これは、陣痛が来る前に計画的に入院していただき、子宮口の出口を拡げる処置を行い、3㎝位開いた時点から陣痛促進剤を用いて分娩誘発を行うものです。順調に進行した妊婦さんには、陣痛の痛みをほとんど感じずに分娩できますので、メリットが大きいと思われますが、陣痛促進剤を用いても4日も5日もかかる妊婦さんもおり、入院費が加算してしまいます。

当院では妊婦さんの経済的負担や出産までの時間短縮を考え、自然陣痛の発来を待って、麻酔の準備を行っています。
しかし、循環器系疾患や精神疾患を有している妊婦さんには計画麻酔分娩を行っていますので、「どうしても計画無痛分娩がしたい。」という妊婦さんは個別に相談していただければ、可能な限り対応いたします。

※出生直後の新生児の状態を評価するスコアのこと

硬膜外麻酔とは?

背中から硬膜外腔と言われる部分に細いチューブを挿入し、麻酔薬を注入し痛みをとる方法です。
お産に関係する神経のみをブロックするので、帝王切開の時に行われる脊髄くも膜下麻酔と異なり、下半身全部が動かなくなることはありません。

日本産科麻酔学会より引用

無痛分娩のメリット・デメリット

無痛分娩のメリット

痛みのコントロールができる点が最大のメリットです。
早い時期からいきんだりすることがないので、疲労が少なく、産後の回復も早いと言われております。また、硬膜外麻酔のみで帝王切開を行うことも可能ですので、緊急時の準備ができている点もメリットと言えます。

無痛分娩のデメリット

足の感覚が鈍くなったり、血圧が下がったり、体温が上がったりすることがありますが、これは効果が得られるとともによくみられる症状なので、多くの場合は心配ありません。血圧低下に関しては点滴を早めに行い予防をしています。

一方で避けなければならない症状として、頭痛(硬膜穿破後)・局所麻酔中毒・脊髄くも膜下麻酔や穿刺部の膿瘍形成などがあります。

当院での無痛分娩の実績と安全対策

当院では15年以上前から前述した合併症を有している場合を基本に行っておりました。
そのため、以前は月に数件程度でした。しかし、最近は希望される方も多くなり、月に15件程度に増えております。当院では自然分娩を基本としておりますので、事前にきちんと無痛分娩のメリット・デメリットを聞いていただいた方しか行っておりません。

また、当院では安心して硬膜外麻酔を受けて頂けるように、万一に備えての体制がしっかりしています。
総合病院である当院は、無痛分娩による合併症が生じた場合でも、救急科・循環器科・脳神経外科・麻酔科・小児科医師など多くの医師が24時間体制で待機しておりますので、ご安心ください。もちろん、これまで合併症が生じた例がありません。

無痛分娩の費用

10万円以上かかる病院が多いようですが、当院では通常の分娩費(47万円~)+5~6万円です。
出産後の育児にはお金がかかりますので、可能な限り安価での提供を心掛けています。

赤ちゃんへの影響

全身麻酔を行う場合は薬剤が移行しますので、さまざまな影響が出ますが、現在の主流である硬膜外麻酔では、赤ちゃんへ麻酔薬が移行することがあっても、出生時の状態は全く問題ないことがわかっています。
とても安全な方法ですが、母体への合併症(低血圧・局所麻酔中毒・脊髄くも膜下麻酔)によって赤ちゃんに異常をきたす可能性はあり得ます。

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