当院で可能な腹腔鏡手術
逆流性食道炎とは
逆流性食道炎とは?
胃液が食道に逆流してくる病気を胃食道逆流症といい、胃液の逆流によって食道に炎症が生じたものを逆流性食道炎といいます。しつこい胸焼け症状が特徴です。
症状は?
最も多い症状は胸骨の後ろが焼けるように熱くなる、俗に言う“胸焼け”です。
この症状が胃酸を押さえる薬で治まるようなら、ほぼ間違いなく逆流性食道炎です。
その他、胸の痛み、せき、口の中の苦味、酸っぱくなる、下を向くと起こる吐き気、声のかすれ、喘息症状などもこの病気の可能性があります。
食道の炎症がひどくなると、食べたものがつかえる、出血などの症状を出してきます。
診断は?
胸焼け症状が、胃酸を押さえる薬で治まるようであれば、ほぼ間違いなく逆流性食道炎です。
診断がつきかねる場合には、食道内に胃酸をはかるモニターを24時間留置し、逆流をチェックします。
食べたものがつかえる、出血などの食道がんと似た症状の場合には胃カメラ検査をして、ガンでないことを確認します。
また、心臓病、喘息、のどのポリープなどと似た症状が目立つこともあるので、その場合にはそれぞれの病気のチェックをする必要があります。
治療は?
逆流性食道炎の治療の基本は食道内へ逆流する胃酸を抑えることにあります。
薬の治療では胃でできる胃酸を減らすことで、結果食道内への胃酸の逆流量を抑えます。
H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害剤がその薬です。
薬物治療の奏効率は90%といわれていますが、薬を中止すると症状が再燃することが多く、長期間に渡って薬を飲み続けなくてはなりません。
手術療法では、胃から食道への逆流防止弁を再構築する(もともと正常では胃と食道の間には逆流防止機構が備わっている)ため、より根本的な治療といえます。
手術はした方がいい?
はっきりとした手術適応はまだ議論のあるところですが、おおむね以下のような場合は手術をした方がいいと言えるでしょう。

1) 薬は効くが、何らかの理由でを継続して飲むことができない、もしくは本人が希望しない場合
2) 狭窄、出血など食道炎の程度が重度の場合
3) バレット食道*が存在する場合
4) 薬で改善しない典型的な逆流症状

*胃酸の刺激により、食道粘膜の一部が胃の粘膜に置き換わってしまった食道。食道がんの原因になるといわれています。
どんな手術をしますか?
次のような3ステップの手術を行います(下図参照)
一般的に噴門形成術といわれています。
1) 胸に飛び出している胃をお腹に引き戻す
2) 胸とお腹を隔てている筋肉の膜(横隔膜といいます)の、食道が通る穴を縫い縮める
3) 胃底部(胃の一番頭の部分)を食道に巻きつける(巻き付け方により手術の名前が違ってきます)

“切除したものを取り出す”といった手術ではないため、腹腔鏡下手術により非常に小さなきずで、なおかつ奥深い場所も拡大しながら安全に行うことが可能です。
開腹手術よりも入院期間が短く、合併症が少ないといわれています。

手術は一時的に金銭的負担がかかりますが、長期間薬を飲み続けることを考えると長期的には手術をした方がトータルの治療費は少なくて済む、という報告もあります。
手術のステップ
入院期間など
まだ当院ではこの病気に対するクリニカルパスはできていません。
一般的には術後2日から7日で退院となります。