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当院で可能な腹腔鏡手術
腹腔鏡下噴門形成術 | 食道裂孔ヘルニア(胃・食道逆流症)
腹腔鏡下手術
EITS消化器腹腔鏡手術エキスパートELKクリニカルアドバイザー、日本内視鏡外科学会技術認定医を中心に腹腔鏡手術を積極的に取り入れています。
腹腔鏡下噴門形成術の実際
この患者さまは、10年近くにわたり胸焼け症状に悩まされてきました。
胃酸を押さえる薬を飲むと症状はおさまっていたのですが、中断すると決まって同じ症状が出現し、その程度は徐々に強くなってきました。
仕事も忙しくなかなか病院にも行けずにいると、とうとう夜中に胸焼けと苦いものがこみ上げてきて眼を覚ますこともしばしば経験するようになりました。
ある病院の先生からは「この病気は一生治らないから、永久的に薬を飲み続けるしかない」といわれたそうです。
そして「手術で何とか治らないか」と私のところにいらっしゃいました。
検査をすると、胃と食道の境目がゆるくて胃の一部が食道側に飛び出し(図1、図2)、一度胃に入ったバリウムが食道に戻ってきます(図3)

図1
胃の粘膜が食道側に飛び出しています。

図2
胃の中から、胃の入り口を見上げた写真です。本当は締まってなくてはいけない胸とお腹の境い目が大きく開いています。

図3
検査中もバリウムが食道内へと逆流してきます。
胃カメラ検査でも胃と食道のつなぎ目に近い食道粘膜は、ほぼ全周にわたって赤くただれ、粘膜が剥がれ落ち、潰瘍を作っていました(右図)。この潰瘍からは悪性の細胞は見つからなかったので、胃酸が逆流してできた潰瘍と考えられます。
この患者さまには腹腔鏡下噴門形成術(Nissen法)を行いました。
Nissen法とは食道に近い胃の一部を、マフラーのように食道の周りに360°ぐるりと巻きつける方法です。
手術翌日には歩行し、水分も開始しました。
術後2日目までは飲み込んだものがややつかえる感じがありましたが、その後は順調に食事も進み、6日目に退院しました。
「こんなに早く退院できるなんて」と喜ばれていましたが、何より患者さまが一番喜んだのは、何年にもわたり患者さまを苦しみ続けさせたあの“胸焼け”が何の薬も必要なく消失したことなのは、言うまでもありません。


食道と胃のつなぎ目はしっかりと締まっています。


もちろん、逆流もありません。



しっかりとした“襟巻き”が出来上がっています。


ひどかった食道炎も改善しています。