当院は東京都板橋区にあるIMSグループの病院です。厚生労働省臨床研修指定病院 日本医療機能評価機構認定病院 東京都がん診療連携協力病院 English 中文

IMSグループ医療法人社団明芳会 板橋中央総合病院 / 板橋中央総合病院附属 板橋セントラルクリニック

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診療科のご案内

泌尿器科先端治療のご案内

前立腺肥大症とは

前立腺肥大症

前立腺は男性だけにある臓器で、精液の一部である前立腺液を作製している臓器です。膀胱の出口にあり尿道を取り囲むように存在しています。
正常な大きさは15〜20ml(胡桃大)ですが、加齢に伴って大きくなり (肥大症)、尿道が圧迫されるため尿の出具合が悪くなり、膀胱を刺激して頻尿の原因となります。尿閉といって完全に尿を出せなくなる状態となることも少なくありません。患者さんの多くは50歳以上であり、症状の例として

上記の症状の場合は前立腺肥大症を考慮して検査します。
また、あまり自覚症状が無くても、長年尿の出が悪い状態が続くと、膀胱が尿を押し出す力も弱くなり、ひいては腎臓機能まで悪化する可能性があります。内服治療で効果が不十分な場合や尿閉を起こす場合は手術治療をお勧めします。

前立腺肥大症の先端治療 HoLEP(ホーレップ)

前立腺肥大症の手術治療

前立腺肥大症の手術治療には従来から行われているTUR-P(経尿道的前立腺切除術)があります。電気メスで細かく削り取るような治療法ですが、前立腺は血流が豊富なため出血が多くなり、輸血が必要になることも少なくありません。そのため前立腺の大きさにも限界があり、100mlを超えるような大きな前立腺肥大症に対しては開腹手術を行う必要性もありました。

HoLEP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)

出血が少なく大きな前立腺にも対応出来るHoLEPホルミウムレーザーを使用して経尿道的に前立腺を摘出する方法で、従来の電気メスを使用したTUR-Pに比べて安全性・確実性の高い治療法と考えております。
全身麻酔の下で尿道からカメラを挿入し、前立腺の肥大腺腫をホルミウムレーザーでくりぬくように核出します。出血が少なく確実に腺腫(内腺)を摘出することができます。
また従来は開腹手術が必要になるような大きな前立腺(200ml以上)にも対応可能であり、低侵襲で安全性の高い手術です。出血が少ないので輸血の準備も必要ありません。
摘出した前立腺は病理診断が可能で、前立腺癌の有無も確認できます。
入院期間は5〜7日間が標準になります(経過により延長することがあります)。

HoLEPの手順
HoLEP(ホルミウムレーザー前立腺核出術)の利点

などがあげられます。詳しくは外来担当医にご相談ください。

アクアブレーション(Aquablation)治療とその利点

従来の手術のような合併症を大きく軽減する、アクアブレーションという治療法が新たに誕生しました。2017年より海外で始まり有効性と安全性が確立され、日本においては2023年6月に保険適用となった最新手術です。従来と同様に前立腺の内腺のみを取り除く手術ですが、大きく異なる点が2つあります。

1つ目は、前立腺切除を高圧水流で行うことです。これまでは電気やレーザーを使用していたため熱による尿道周囲の筋肉や神経へのダメージが報告されていました。これらが障害されると術後の尿漏れや勃起障害に繋がりますが、アクアブレーション治療は水を使用するのでそのような心配がありません1,2,3)

2つ目は治療成果が前立腺の大きさや外科医の手術件数に左右されないということです。従来の手術はいずれの場合も、外科医の手技によって前立腺切除を行っていました。アクアブレーション治療ではまずモニター画面に前立腺を詳細に映し出し、切除したい範囲を設定します。続いて尿道から前立腺まで挿入した装置のスタートボタンを押すと、設定範囲の前立腺切除が自動で行われ、外科医は微調整を行うのみです。どのような形・大きさの前立腺にも対応可能ですし、勃起や射精に重要となる解剖学的構造物を確実に温存するよう設定することが可能です1,3)。この切除に従来の手術では数十分から数時間を要していましたが、アクアブレーション治療では5分程度しかかかりません3)。手術時間が短縮されることで出血量が減り、麻酔による体への負担も軽減されます。

最新治療のため現在の日本における導入はわずか5施設ですが、従来の治療と比較して優位性が認められており、全世界で急速に普及しつつあります。今後はアクアブレーション治療が前立腺肥大症手術の主流になると予想されます。

■PROCEPTRobotics プレスリリース
https://ir.procept-biorobotics.com/news-releases/news-release-details/procept-bioroboticsr-announces-first-commercial-aquablation

■PROCEPTRobotics X(旧Twitter)
https://twitter.com/PROCEPTRobotics/status/1694489970415673777

図1
治療に必要な入院期間や費用

入院期間の目安は5日間です。術後の経過や体調によっては多少前後する場合があります。治療に必要な費用は従来の術式とほぼ同様であり、健康保険および高額医療制度が適用されます。そのほか入院費等が別途かかりますので、詳しくは窓口でお尋ねください。

患者さんへの負担や術後の回復について

手術終了当日はベッド上で休養いただきますが、翌日から食事や歩行が可能です。術後は尿道にカテーテル(排尿のための管)を留置し、血尿の具合を観察します。標準的には手術から2日後にカテーテルを抜去し、その翌日退院とします。退院後は飲酒、激しい運動や熱い湯船に浸かるといった血流を良くする活動は1週間程度控えていただきます。それ以外の活動に制限はありません。術後は薄い血尿が続く場合がありますが健康上問題となることは稀で、1週間程度で自然に軽快します。退院後は手術後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月の時点で外来受診していただき症状を確認します。これまで排尿改善のお薬を処方されていた方は、手術後の内服は基本的に必要ありません。

有効性と合併症について

海外においてはすでに16カ国以上(2022年時点)で導入され、その成績や安全性は従来の手術と同等あるいはそれ以上と報告がされています1,2,3)。ある研究では、術後5年間で追加治療を要した割合はわずか6%(前述のTURPという手術と比較し排尿症状の再燃が51%軽減)、術後の尿漏れ率0%、勃起障害の発生率0%(もともと勃起能力を有していた患者さんが対象)、射精障害の発生率7%と大変良好な結果が報告されています1)。生活に不具合をきたす副作用や、入院期間が延長してしまう合併症の可能性は非常に低いです。

治療後の機能維持率

図2 資料提供:Procept Biorobotics社 一部改変
前立腺癌の有無はわかるのか?

この手術は前立腺肥大症という良性疾患に対して行う手術です。術前外来では前立腺癌の腫瘍マーカーであるPSAを事前に測定し、基準値を超えている方に関しては基本的に前立腺の生検検査を事前に受けていただきます。手術によって切除された前立腺は高圧水流により粉砕されているため、悪性有無の診断はつきません。また、この手術は前立腺の内腺のみ取り除くため、外腺は残ります。この部分から将来前立腺癌が発生する可能性もあるため、術後も1年に1回はPSAの測定をお勧めします。

参考文献 1. Gilling P. et al. Five-year outcomes after Aquablation® therapy compared to TURP: results from a double-blind, randomized trial in men with LUTS due to BPH. Can J Urol. 2022 Feb;29(1):10960-10968.
2. Desai M, et al. Aquablation for benign prostatic hyperplasia in large prostates (80-150 cc): 2-year results. Canadian Journal of Urology. 27(2):10147-10153. Apr 2020.
3. Bach T. et al. First Multi-Center All-Comers Study for the Aquablation Procedure. J Clin Med. 2020 Feb;9(2): 603.

尿路結石症の先端治療 f-TUL(エフ・ティーユーエル)

尿路結石の症状

尿は腎臓で造られ尿管を通過し膀胱へ溜まります。結石の多くは腎臓で発生し、腎結石となります。ほとんどの場合、腎結石は症状がありません。腎臓から尿管へ結石が落下し、尿管が詰まると水腎症となり、腎盂・腎杯が拡張することで痛みを生じます。尿管結石は突発的な背部痛で発症します。結石が膀胱内まで落ちると尿管が開通し痛みや水腎症が改善しますが、結石が残ると感染症や腎機能の悪化を来す可能性があります。

尿路結石の症状
尿路結石の治療

尿路結石の治療は一般に体外衝撃波結石破砕術(ESWL)と経尿道的尿路結石除去術(TUL)があります。ESWLは比較的簡単な治療法ですが、結石の位置や硬さによって破砕効果にばらつきがあり、破砕できても摘出することが出来ないため疼痛が持続したり、複数回の治療が必要になることも少なくありません。
一方、TULは結石を内視鏡で直接確認してレーザーで砕石するので、ほぼ確実に結石を砕くことができ、同時に破砕した破片を摘出することが可能です。つまり1回の治療で結石をほぼ完全に除去できる可能性が高い治療法です。

f-TUL(経尿道的尿路結石除去術)とは
柔らかい尿管鏡(flexible-scope)を用いたTUL

TULは全身麻酔の下で尿道から尿管へ内視鏡を挿入して治療を行いますが、真っ直ぐな硬い金属の硬性尿管鏡では蛇行する尿管内や腎臓までの到達が困難です。そこで、柔らかい軟性尿管鏡を挿入することで、腎盂・腎杯の奥まで到達することが可能となります。軟性尿管鏡(flexible-scope)を用いるため、f-TULと呼ばれます。
細い尿管内での操作となり、非常に高度な技術が要求される繊細な手術です。

柔らかい尿管鏡(flexible-scope)を用いたTUL
f-TUL(経尿道的尿路結石除去術)の利点

などがあげられます。詳しくは担当医にご相談ください。

骨盤臓器脱の先端治療 ロボット支援仙骨膣固定術

骨盤臓器脱とは

女性の骨盤内には、膀胱、子宮、膣、直腸などの臓器があります。これらは骨盤底筋群という筋肉によって支えられていますが、出産や加齢などが影響し支えることができなくなることがあります。
その結果として骨盤内の臓器が体外へ脱出してしまう状態が、骨盤臓器脱という病気です。脱出する臓器によって様々な病名があります。

症状と診断
トイレが近い、尿が出づらい、残尿感がある、入浴時に会陰部に何か触れる、立ち仕事や力仕事で下腹部に違和感を感じる など
このような症状の背景に骨盤臓器脱が関係している場合があります。
診断は問診、内診(診察台の上での診察)、レントゲンやMRIなどを用いて行います。

骨盤臓器脱
骨盤臓器脱の治療

臓器脱が軽度の場合は、骨盤底筋を訓練することで悪化を防ぐことができます。
軽度から中等度であれば膣の中に専用の器具を挿入することで症状の改善も期待できますが、根本的な治療とはならず、重症例には効果がありません。
当院では、ロボット支援仙骨膣固定術にて、骨盤臓器脱の治療を行っております。

RASC (Robot Assisted Sacrocolpopexy)(ロボット支援仙骨膣固定術)とは

手術による骨盤臓器脱の根本的な治療法です。
手術支援ロボットを用いた治療が、2020年より保険適応となりました。

医療用メッシュを用いて、膣と仙骨という背骨の一部を固定することで、臓器脱が起こらないようにします。
手術は全身麻酔下に行い、入院期間は約1週間が標準となります。

RASC
RASC(ロボット支援仙骨膣固定術)の利点

などがあげられます。詳しくは担当医にご相談ください。

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