診療科のご案内
呼吸器病センター
センターの紹介
現代の医療は、専門分化が進むと同時にそれぞれの専門性を生かした「集学的治療」が求められています。呼吸器疾患についても内科・外科の垣根を越えたシームレスな診療が必要です。当院では平成29年6月1日、呼吸器病センターを開設し、呼吸器内科・呼吸器外科が今まで以上に連携・協力し、地域の皆様のニーズに応え、迅速かつ良質な医療を提供できるよう体制を整えました。
呼吸器内科では、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎などの慢性期の管理から急性増悪時の治療まで対応します。また必要に応じて在宅酸素療法の導入、管理も行います。肺炎、肺真菌症など呼吸器感染症の治療にも力を入れています。
肺がんは近年増加傾向が著しく、健康診断で異常があると言われた方や血痰や慢性の咳、痰などの症状がある方に高分解能CT検査や気管支鏡検査などで診断を確定し、適切な治療を行ないます。
呼吸器外科では、肺癌の標準治療として、胸腔鏡手術やロボット手術で低侵襲手術・早期退院を実現しています。また、そのままでは切除不能である進行肺がんに対し、
化学療法(抗がん剤、免疫療法)によって腫瘍を縮小させたのち、完全切除を行うというサルベージ手術も積極的に行っています。
また、気胸、膿胸など緊急の処置が必要な疾患については呼吸器内科・呼吸器外科が協力して即時対応しています。
診療科の紹介(呼吸器外科、呼吸器内科)
呼吸器病センター(呼吸器外科)
診療科紹介
~はじめに~
現在の肺癌診療は、大きく変わりました。標準的な肺癌に対して胸腔鏡手術やロボット手術を行うことで、痛みが少なく、早期回復・早期退院が可能となりました。 また、抗がん剤や免疫療法などの化学療法が非常に効く時代になりました。発見された時にすでに進行した状態であり、そのままでは完全切除不可能である肺癌に対しては、 化学療法によって腫瘍を縮小・限局化させたのち、完全切除を行うというサルベージ手術も積極的に行われています。 さらに、化学療法の薬剤を選択する上で、腫瘍の遺伝子解析などが有用であるため、十分な組織を採取し調べることも重要です。 こうした個々の特性に応じた治療、いわゆるPrecision medicineが重要視されてきた今日、呼吸器病センター(呼吸器外科)の役割は従来の腫瘍を切除して完全に治癒させるのみならず、 化学療法の方針決定に必要な組織や遺伝子の情報を得る手段として、益々重要なものになってきています。
当科の紹介
われわれ呼吸器病センター(呼吸器外科)が専門としているのは、主に肺癌、気胸、縦隔腫瘍などの胸部疾患です。 当科は、日本呼吸器外科学会の基幹病院に認定されており、質の高い診療を行っております。
下記のような患者さまは迅速に対応可能です。- 医師から肺がんである、あるいは肺がんの疑いがあると診断されている方
- 「肺に異常な影がある」「肺がんの疑いがある」「検診で胸部レントゲン異常を指摘された」など、まずどこの科へ受診したらよいのかわからない方
- 肺がんについてのセカンドオピニオンを希望される方
予約の無い場合でも、なるべく早急な対応を行う方針としています。当日あるいは数日以内の受診が可能ですので、呼吸器外来受付にご相談ください。
当科における肺がん手術の特徴
当科の特徴は、ロボット手術を積極的に取り入れていることです。2019年12月のロボット手術開始以来、合計300例のロボット手術を行い、肺がん手術(肺葉切除あるいは区域切除)は200件を施行しています(2024年2月現在)。
その結果、当科で過去に行われてきた胸腔鏡手術の臨床経過を大きく改善する結果が得られています。(別記詳細)
従来当科では、術後7日前後の入院が肺癌手術の標準経過でありましたが、現在は術後4~5日前後で退院されることが多いです。
当科ではロボットでの肺癌手術開始から、2021年に100件目に到達したため、1~50件目と51~100件目のデータを解析し、その特徴を調べました。
その結果、開始当初の50件と比較して最近の50件では、退院日がより早い傾向が見られました。経験が手術の質改善につながったと考えています。
また、ロボット手術後の診療に我々が習熟していき、早期退院に自信を持ってきたとも思われます。
最近の50件では40%の患者さんが術後4日以内で退院し、62%の患者さんが術後5日以内に退院しています。また、82%の患者さんが術後7日以内で退院されました。
早期退院された場合は、翌週の外来に通院していただき、状態のチェックをしていますが、その頃になると患者さん自らの判断で、痛み止め内服をすでに終了していることも珍しくありません。
単孔式胸腔鏡手術のご案内
単孔式胸腔鏡下肺葉切除術は、2011年に上海肺科病院のスペイン人医師Diego Gonzalez-Rivas氏が報告した術式です。
文字通り数cmのポート孔1つのみから手術を行う手法です(単孔式胸腔鏡研究会の定義では4cm以下)。孔1つから最大5個の手術器具を入れて手術を行っていますが、
器具どうしの干渉を避けるために、本術式のために開発された特殊な形状の器具を使用しています。
単孔式胸腔鏡下手術の利点は、手術における開胸創が極力小さくできることで、術後の痛みが少なく、結果的に早期退院が可能となる点です。
当科の主流であるダビンチ手術と単孔式手術のそれぞれの特徴を活用し、各々の患者さんに適切な手術方法を提供できる体制を整えております。
当科における気胸手術の特徴
当科診療の柱の1つは気胸治療です。全国有数の診療実績(入院)を確立するまでに、皆さまからの信頼をいただいております。
難治性気胸治療に粘り強く取り組む一方で、若年性気胸では、低侵襲治療・早期退院(概ね術後2~3日で退院)を実行してきました。
診療体制をさらに強化するため、3mm胸腔鏡(4K画像)を導入し、さらなる低侵襲手術を実現しています。
従来の小径スコープは、通常の10mmスコープと比較して、視野が狭い、画面が粗雑で暗いなどの欠点がありました。
当科で使用している3mmスコープは、4Kの画像であり、これらの欠点を大きく改善させました。
3mm内視鏡での手術は、単に全ての機器を小さくしただけの手技ではありません。ポート(孔)1~3個を開けて行う作業ですが、1か所は、10mmを開けなければ自動縫合器が使用できません。
また、カメラも3mm内視鏡と10mm内視鏡を両方使用します。鉗子も5mmと3mm対応のものがあります。
つまり、大きさが異なる複数の孔を利用し、異なる大きさの機器を使用する部位、順序を工夫し最終的に可能な限り小さい創部で最大限の手術の質を確保するのです。
このような工夫を行い、痛みが少ない手術、審美性に優れた手術を構築しています。3mmポート部の手術跡は、数ヶ月でほとんどわからなくなることも珍しくはありません。
比較的若年者が多いシンプルな自然気胸という疾患は、難治性の続発性気胸の治療のようなあらゆる工夫を総動員することが必要な困難な状況になることは少ないですが、
このようなシンプルな疾患であっても、まだまだ我々が努力し、診療の質をあげる余地があると考えています。
当科における縦隔腫瘍手術の特徴
当科では、2019年末よりダビンチ(手術支援ロボット)を用いた縦隔腫瘍手術を行っております。ロボット手術の経験を積み重ね、術後短期間で退院可能となりました。
患者さんのご希望があれば、疾患によって当日退院も行っています。
当科における膿胸手術の特徴
膿胸は、胸腔(肺の周り)に膿瘍が貯留する疾患です。抗菌薬による内科的治療とドレナージや手術などの外科的治療を組み合わせて治療を行います。
本疾患の治療期間は2~3週間以上かかることが珍しくなく、患者さまと医療スタッフが共に根気よく治療を継続することが重要です。当科は、膿胸の患者さまも積極的に受け入れ治療を行ってまいりました。
今後も、当科のフットワークを生かし、積極的に診療を行ってまいります。
各診療科の医師情報の詳細につきましては、C館1階 地域医療連携室までお問い合わせくださいませ。
診療実績
全手術数
2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | |
---|---|---|---|---|---|
件数 | 294 | 277 | 265 | 280 | 313 |
ダビンチ手術件数
2020 | 2021 | 2022 | |
---|---|---|---|
件数 | 49 | 82 | 98 |
2022年度手術実績内容
肺がん | 気胸 | 縦隔腫瘍 | 膿胸 | 転移性肺腫 | 胸壁腫瘍 | その他 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
件数 | 115 | 97 | 37 | 21 | 5 | 3 | 35 |
主な対象疾患・検査・治療
主な対象疾患
- 原発性肺癌
- 転移性肺腫瘍
- 良性肺腫瘍
- 自然気胸
- 縦隔腫瘍
- 胸壁腫瘍
- 膿胸など
実施可能な検査・治療
- 疾患に対する外科的治療(胸腔鏡手術など)
- 気管支鏡
- 気管支鏡下生検
- 気道ステント治療
- 硬性鏡
- レーザー焼灼術
- CTガイド下肺生検
- 縦隔鏡
医師の紹介
呼吸器病センター(呼吸器外科)診療部長 小林 零
- 専門分野
- 呼吸器外科
- 専門医認定/資格等
- 日本呼吸器外科学会専門医・評議員
- 日本呼吸器外科学会胸腔鏡安全技術認定医
- 日本呼吸器外科学会認定ロボット支援手術指導医(プロクター)
- 日本ロボット外科学会専門医 国内A(Robo-Doc Pilot認定)
- インテュイティブ社認定ダビンチ執刀医
- 日本外科学会専門医・指導医
- 日本呼吸器学会専門医・指導医
- 日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医・指導医
- 肺癌CT検診認定医機構認定医
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- 日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医
- 厚生労働省麻酔科標榜医
- 厚生労働省がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
- ライフ プランニング センター「がんのリハビリテーション研修」修了
呼吸器病センター(呼吸器外科)医長 永山 加奈
- 専門分野
- 呼吸器外科
- 専門医認定/資格等
- 日本外科学会専門医
- 日本呼吸器外科学会専門医
- 日本ロボット外科学会専門医 国内B(Robo-Doc Pilot認定)
- インテュイティブ社認定ダビンチ執刀医
- 厚生労働省がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
医員 川野 亮二
- 専門分野
- 呼吸器外科
- 専門医認定/資格等
- 日本呼吸器外科学会専門医・指導医・評議員
- 日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医・気管支鏡指導医
- 日本外科学会認定医・専門医・指導医
- 日本呼吸器学会専門医・指導医
- 日本がん治療認定機構がん治療認定医・暫定教育医
- 日本レーザー医学会レーザー専門医
- 日本抗菌化学療法学会認定医
- 肺がんCT検診認定機構認定医
- 日本禁煙学会認定指導医
- 日本医師会認定産業医・健康スポーツ医
- 日本臨床細胞学会細胞診専門医
- 医学博士
- 日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医
医員 山岡 大将
- 専門分野
- 呼吸器外科
- 専門医認定/資格等
- 日本外科学会専門医
- インテュイティブ社認定ダビンチ執刀医
- 厚生労働省がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医員 諸田 優介
- 専門分野
- 呼吸器外科
SASセンター長 高橋 保博
- 専門分野
- 呼吸器外科
- 睡眠時無呼吸症候群
呼吸器病センター(呼吸器内科)
診療科紹介
地域の基幹病院の呼吸器病センター(呼吸器内科)として、近隣の医療機関と連携しながら、専門性の高い診療を行っています。
また、2次救急指定病院でもあり、さまざまな呼吸器疾患の急性期ならびに救急医療を担っています。
呼吸器疾患と一言でいっても、病気の種類は大変多く、気管支喘息、慢性肺気腫、間質性肺炎などの慢性期の管理から、急性増悪時の治療も行っています。
また、呼吸不全を有する方の在宅酸素療法なども専門外来で行っています。肺炎、肺真菌症などの呼吸器感染症の治療を行っています。
肺癌は近年増加傾向が著しく、健康診断で異常があると言われた方や、血痰や慢性の咳や痰などの症状がある方に高分解能CT検査や気管支鏡検査などで診断を確定し、治療を行っています。
高齢化社会を迎え、慢性呼吸器疾患や高齢者の肺炎が増加しています。また、近年肺癌やアレルギー疾患(気管支喘息など)の増加も著しく、地域医療における呼吸器病センター(呼吸器内科)の果たすべき役割はますます重要になってきました。
病気は早期発見、早期治療が大切ですので、かかりつけの先生ともよくご相談の上、受診していただければ幸いです。
各診療科の医師情報の詳細につきましては、C館1階 地域医療連携室までお問い合わせくださいませ。
主な対象疾患・検査・治療
主な対象疾患
- 呼吸器疾患の急性期ならびに救急医療
実施可能な検査・治療
- 胸部画像検査(CT、シンチグラフィ―など)
- 呼吸機能検査
- 呼気NO検査
- 気管支鏡検査(気管支肺胞洗浄、経気管支肺生検、遺伝子検査など)
- CTガイド下肺生検
- 入院での非侵襲的人工呼吸や侵襲的人工呼吸療法
- 呼吸不全に対する在宅酸素療法
- 分子標的治療
- 肺癌に対する化学療法
- サイバーナイフ治療
- 放射線療法
- 喘息に対するIgE抗体療法
- 緩和治療
- 呼吸リハビリテーション
- 吸入療法など
医師の紹介
呼吸器病センター(呼吸器内科)医長 四竃 純
- 専門分野
- 呼吸器疾患全般(アレルギー、感染症、肺腫瘍など)
- 専門医認定/資格等
- 日本内科学会認定内科医・指導医
- 日本がん治療認定医機構がん治療認定医
- 厚生労働省がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
- 日本結核病学会結核・抗酸菌症認定医
- 日本結核病学会指導医
- 日本化学療法学会抗菌化学療法認定医
- 日本静脈経腸栄養学会関東甲信越地区TNT研修修了
- 茨城県がんのリハビリテーション研修会第1回茨城県がんのリハビリテーション研修会修了
- 日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医
- 日本呼吸器学会専門医
- 日本アレルギー学会専門医
- 厚生労働省認定難病指定医
総合診療内科主任部長 友田 義崇
- 専門分野
- 呼吸器内科
- 専門医認定/資格等
- 日本内科学会認定医・専門医・指導医
- 米国内科学会上級会員 (Fellow of American College of Physicians)
- 総合診療専門研修プログラム特任指導医
- 日本病院総合診療医学会病院総合診療特任指導医
- 日本病院総合診療医学会認定医
- 日本呼吸器学会専門医・指導医
- 日本呼吸器内視鏡学会専門医・指導医
- ICD制度協議会インフェクションコントロールドクター(ICD)
- 日本プライマリ・ケア連合学会暫定指導医
- 厚生労働省臨床研修指導医講習会修了
- 緩和ケア研修会修了
呼吸器病センター(呼吸器内科)医長 塙平 孝夫
- 専門分野
- 呼吸器疾患全般(肺腫瘍)
- 専門医認定/資格等
- 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医
- 日本感染症学会インフェクションコントロールドクター(ICD)
- 日本医師会認定産業医
- 厚生労働省がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
- 厚生労働省認定難病指定医
医員 長澤 千奈美
- 専門分野
- 呼吸器内科
- 専門医認定/資格等
- 日本麻酔科学会専門医・指導医
- 厚生労働省麻酔科標榜医
- 米国National Board of echocardiography
- 厚生労働省臨床研修指導医養成講習会修了
- 医学博士
医員 中野 滋文
- 専門分野
- 呼吸器一般
- 専門医認定/資格等
- 日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌認定医
医員 根井 貴仁
- 専門分野
- 呼吸器内科(間質性肺炎、慢性閉塞性肺疾患)、呼吸器感染症
- 専門医認定/資格等
- 医学博士
- 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
- 日本呼吸器学会専門医・指導医
- 日本感染症学会専門医・指導医
- 日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核抗酸菌症指導医
- ICD制度協議会認定インフェクションコントロールドクター
- 厚生労働省臨床研修指導医講習会修了
医員 竹内 千枝
- 専門分野
- 呼吸器一般
- 専門医認定/資格等
- 日本外科学会専門医
- 厚生労働省がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了
医員 谷川 洸成
- 専門分野
- 呼吸器一般
- 専門医認定/資格等
- 日本内科学会認定医
非常勤医師
医員 粟屋 幸一
- 専門分野
- 呼吸器疾患全般
- 間質性肺疾患
- 感染症
- 専門医認定/資格等
- 日本呼吸器学会専門医・指導医
- 日本感染症学会専門医・指導医
- ICD制度協議会インフェクションコントロールドクター(ICD)
- 日本内科学会認定医・専門医・指導医
- 厚生労働省臨床研修プログラム責任者講習会修了
- 厚生労働省臨床研修指導医講習会修了
- 医療系大学間共用試験実施評価機構
共用試験医学系OSCE評価者認定講習会修了 - 島根大学医学部臨床教授
医員 伊藤 涼
- 専門分野
- 内科一般
- 専門医認定/資格等
- 日本内科学会認定医
- 日本医師会認定産業医
- 日本呼吸器学会専門医